障害者手帳を取得しようと考えたとき、「等級ってどうやって決まるの?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
等級は、その人の障害の状態や日常生活への影響の程度をもとに、医師の診断書と自治体による審査を経て決定されます。
公平な判断がなされるように、明確な基準が設けられており、書類審査だけでなく、必要に応じて面談や再検査なども行われることがあります。
障害者手帳を取得することによって、さまざまな支援やサービスを受けることが可能になるため、正確に等級が判断されることは非常に重要です。
この記事では、障害者手帳の等級がどのように決められるのか、申請の流れや注意点も含めて、詳しく解説していきます。
障害者手帳の種類と等級の違い

障害者手帳には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳(知的障害者向け)
それぞれの手帳において、等級の判定基準や支援内容が異なるため、自身の状態に合った手帳を選ぶことが大切です。
身体障害者手帳の等級
身体障害者手帳は、視覚、聴覚、肢体、内部機能など、身体の一部に障害がある方を対象としています。等級は1級から6級まであり、数字が小さいほど障害の程度が重いとされます。
たとえば:
- 両目の視力が0.01以下:1級
- 両腕の機能が完全に失われている:1級
- 心臓や腎臓の機能に障害がある場合:3級~5級
また、等級によって受けられる支援や補助の内容も変わってくるため、正確な診断が非常に重要です。
精神障害者保健福祉手帳の等級
精神障害者保健福祉手帳は、うつ病や統合失調症、双極性障害などの精神障害を持つ方が対象です。
1級から3級までの区分があり、1級がもっとも重度の障害とされます。
等級は主に「日常生活や社会生活にどの程度支障があるか」に基づいて判定されます。
- 1級:ほぼすべての場面で支援が必要で、自力での生活が困難
- 2級:就労は難しいが、ある程度の日常生活は可能
- 3級:軽度の障害があるが、支援があれば就労や生活が可能
精神障害は外見からはわかりづらいため、本人や家族がしっかりと症状を伝えることが大切です。
療育手帳の等級
療育手帳は、知的障害を持つ方が対象で、知能検査(IQ)や日常生活の自立度をもとに判定されます。
多くの自治体では、A(重度)とB(中・軽度)に分けられ、さらに細かくA1・A2・B1・B2などに分類される場合もあります。
- IQ35以下:A(重度)
- IQ36〜50:A2など
- IQ51〜70程度:B(軽度~中度)
支援学校や特別支援学級への進学、福祉サービスの受給など、等級に応じた制度利用が可能になります。
等級の決まり方と申請の流れ

障害者手帳の申請には、次のようなステップがあります。
- 医師の診断を受け、指定された診断書を作成してもらう
- 住んでいる市区町村の福祉課や障害福祉窓口へ申請書類を提出
- 自治体による審査(必要に応じて面談や調査)
- 審査結果をもとに等級が決定され、手帳が交付される(通常1〜2ヶ月程度)
提出書類や審査内容は自治体ごとに若干異なることがあります。
スムーズに進めるためにも、事前に窓口で必要書類を確認しておくと安心です。
等級の変更はできる?

一度決定された等級であっても、障害の状態が改善または悪化した場合には「等級変更の申請」ができます。
- 症状が軽くなった → 等級が下がる(支援内容が減る可能性)
- 症状が重くなった → 等級が上がる(支援内容が増える可能性)
また、手帳の種類によっては定期的な更新が必要なケースもあります。
更新時に改めて診断書を提出し、再審査を受けることになるため、変化があった場合は早めの対応が重要です。
まとめ:まずは相談から始めよう
障害者手帳の等級は、医師による診断だけでなく、生活の中でどれだけ困難があるかといった社会的な側面も重視されて決まります。
そのため、単なる数値や診断結果だけでなく、生活の実情をしっかり伝えることが大切です。
また、障害者手帳は単なる証明書ではなく、生活を少しでも楽にするための「パスポート」のような存在です。
割引制度、福祉サービス、就労支援、税制優遇など、さまざまなメリットがあるため、自分に必要なサポートを受ける第一歩として活用していきましょう。
最初の一歩として、まずはかかりつけ医や地域の福祉窓口に相談してみるのがおすすめです。
この記事が、障害者手帳の等級や申請について考えるきっかけとなり、安心して手続きを進める助けとなれば幸いです。
